早稲ローの2年生が夏休みの間にしておくといい事

久しぶりの更新です。

さっきワクチン打ってきました😇

今のところ痛みはありません🤗🤗

 

前から予告していた通り、今日は「早稲ローの2年生が夏休みの間にしておくといい事」について徒然と書いていきます。

 

一般論

まずは枠組みから話していきます。

基本的には、①来年の予備試験等を見据えて論文演習をメインに勉強する、というのがあります。もっとも、予備の論文式試験は七法(+α)なので夏休みだけではなかなか手が回らないと思います。そこで、②秋学期の必修科目に絞って演習を積むことで、秋学期の勉強も先取りして行っておく、という勉強方針があります。

なお、③再試、再履については補足的な形で記述します。

 

ある程度勉強が進んでいる人は①の方針がいいなと思います😊

夏休みのようなまとまった時間が次に確保できるのは秋学期終了後の春休み(2、3月)だからです。①の方針が採れる人はある程度勉強が進んでいる人だと想定されますが、その場合も優先順位をつけて演習するのがいいです。具体的には、自分の苦手な科目や秋学期の必修科目である憲法は優先度が高く、反面、必修から外れる刑事訴訟法は優先度が低いです。

 

今回の期末試験でやらかしたな…って感じた人は②の方針がいいかと思います。その際、闇雲に演習するのではなく、やらかしたと感じた科目から優先してやっておきましょう。春学期の期末試験の結果が出るのが例年8月末なので、そこまで待っていたら時間がもったいないからです😢

期末の結果が出るまでは、自分がやらかした(と感じている)科目を中心に演習をし、期末の結果発表で結果が悪かった科目や再試科目があれば、その科目を中心に演習を積むのがいいと思います。

なお、憲法の優先度が高めである一方、刑事訴訟法の優先度が低い点は先のとおりです。

 

現時点で再試確定だ…って人はとりあえずその科目を徹底してやっておきましょう😂

先輩に聞いたりして例年何が出るのかを把握しておくことも大事です。再試で拾えるか拾えないかで進級できるか否かが決まる人が多数いるので、望みは薄くとも全力で勉強しておきましょう😌

 

ちなみにですが、百選を潰すのも夏休みや春休みの方がいいと思います。というのも、期末試験を受験し終わっているのでほとんどの方が感じている事だと思いますが、期末試験は百選の事案の亜種が出ることが多いです。また、司法試験対策上も有効とされているので早めに潰しておいた方がリターンが大きいです。

潰すのであれば、民事訴訟法、会社法から優先して潰しましょう。他の科目はその後でも大丈夫だと思います🥰

 

私がやっていたこと

私がやっていたのは②の方針になります。というのも、エクスターンや次年度のサマクラでGPAが必要だったからです😎 その上で、苦手だった民事系3科目(民法民事訴訟法、会社法)をがっつりやっていました。特に会社法に関しては、20年度秋学期の中間レポート試験で[監査役会設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社の異動について論ぜよ]、という問題が出題されたのをきっかけに、大会社のコーポレートガバナンスに興味を持ち、論文演習の空き時間で自分なりに勉強をしていました🥰 これがきっかけで会社法でのD進(本学の法学学術院後期博士課程への進学)を考えるまでになりました!

 

基本的には重問を使い、民事系3科目の演習を積みつつ、並行して憲法行政法の演習をしていました。択一等は夏休みでは一才触れませんでした(百選は潰していなかったです💦)

肝心の結果ですが、夏休みの荒療治が効いたのか、秋学期は苦手だった民事系でも最高評価を頂けました。

 

余談ですが、勉強に疲れてきたら秋学期の履修を考えるのもいいと思います。楽しくて適度な息抜きになりますし、モチベーションも回復するからです🤗✨✨

履修相談の名の下、気になる先輩や同期と仲良くなって夏祭りにでもいきましょう。演習を積むよりも大事なことです🤗

 

おわおわおわり

民法(共同不法行為論 719条1項前段)

2021年 あけましておめでとうございます✨

新年一発目のメモは民法719条の共同不法行為についてです。

 

↓↓↓時間がない人はここからでOK(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

 

 

問題演習しているときに、共同不法行為の典型事例として出てくるのは交通事故後の医療過誤の事例が多いですよね(これ以外はほぼ見たことがない)。

 

この時、交通事故の加害者(Xとする)の加害行為と医師(Yという)の医療過誤行為(過失)とを併せて共同不法行為であると構成して、損害額全額についての連帯債務を認める方向にもっていくと思います。

 

この点については、いわゆる平成13年判例最判平13.3.13民集55巻2号328頁)が判示している通りである。

以下、引用する。

「本件交通事故により,訴外Aは放置すれば死亡するに至る傷害を負ったものの,事故後搬入された被上告人病院において,Aに対し通常期待されるべき適切な経過観察がされるなどして脳内出血が早期に発見され適切な治療が施されていれば,高度の蓋然性をもってAを救命できたということができるから,本件交通事故と本件医療事故とのいずれもが,Aの死亡という不可分の一個の結果を招来し,この結果について相当因果関係を有する関係にある。したがって,本件交通事故における運転行為と本件医療事故における医療行為とは民法719条所定の共同不法行為に当たるから,不法行為者は被害者の被った損害の全額について連帯して責任を負うべきものである。」

 

この判決の事案の特徴は、本件交通事故と本件医療事故とのいずれもが、Aの死亡という不可分の一個の結果を招来し、相当因果関係を有しているという点である。

本判決については、各加害行為と実際に生じた結果との間に相当因果関係があれば共同不法行為が成立するとしている点で、共同不法行為と競合的不法行為とを区別できていないとの批判が加えられている。また、本事案と異なり、Aの死亡となった原因が交通事故によるものなのか医療事故によるものなのかが不明な場合(つまり、因果関係不明な場合)に、共同不法行為の成立が認められなくなるおそれがあるという点が指摘されている。

 

そもそも、我が国での共同不法行為論は、公害訴の趨勢と共に議論がなされ発展してきたものである。つまり、被害者の保護をどう図るかという点に重点があてられてきた分野であるといえる。その証拠に、昭和43年判決(最判昭43.4.23民集22巻4号964頁)は、共同不法行為の成立要件につき、①各行為者が709条の要件を備えていること、②各行為者との間に関連共同性が認められること、という(受験生にお馴染みの)規範のようなものを打ち立てて、結論として共同不法行為の成立を認めてはいる。

しかし、②の関連共同性がいかなる場合に認められるかについては示しておらず、その意義が必ずしも明らかでない。また、709条の要件を満たすのであればそもそも719条の成立を認める必要がないとして、①の要件を満たす必要はないとの批判が加えられることもあるが、共同不法行為が成立した際には、各行為者は損害額全額についての真正連帯債務を負うという効果が発生することから、かかる点を捉えて719条の意義を認めることもできる。この辺りは学説上も錯綜しており、説得的な理由付けができていない印象である。

 

 

では、どうするか。

とまぁ、共同不法行為論はいくつかの類型(コンビナート型、累積型等)があるとと共に、判例においても定型的な規範を杓子定規的に当てはめるようなことはせず、個別具体的事案に応じて妥当な結論を導こうとしているようである。

 

少なくとも、受験生が論文演習で書く際には、

①各行為者が709条の要件を備えていること

②各行為者との間に関連共同性が認められること

 

という要件で良いように思われるが、この規範にはいくつかの弱点が存在することを理解しておく必要がある。

お馴染みの規範の弱点について

ⅰ)1つ目は、各行為者の各加害行為(過失)のいずれかと当該結果との間に因果関係が認められない場合の処理である。

719条はおろか、相当因果関係の認められない行為を行った行為者に対する709条の不法行為に基づく損害賠償請求もすることが不可能となってしまう。これでは、被害者の救済が十分に図れないことになる。この場合は、そもそも①要件を不要とし、②の関連共同を客観的関連共同の意味で捉え、②を肯定することで共同不法行為の成立を認めた上で、損害額全体の賠償請求を認めるべきであろう。

肝心の理由付けだが、①要件については、719条の意義から論じれば良い。客観的関連共同が認められ、「共同行為」といえれば、この「共同行為」と相当因果関係のある損害につき賠償責任を負わせる点に719条の意義があると考えていくのである。こう考えることで、各行為者の各行為と結果との間の個々の相当因果関係要件は不要と考えることができる。

 

ⅱ)2つ目は、直接の死因となった行為が明らかな場合の処理である。

e.g.交通事故と医療事故とが発生した場合に、直接の死因となったのが医療事故による場合(治療方法の誤りや手術に失敗し死亡した場合等)

この場合、①要件の検討として、そもそも交通事故と医療事故とが当該損害(被害者の死亡)につき相当因果関係を有しているかを検討することになるが、この事例では、交通事故と相当因果関係があるのは交通事故による受傷という損害についてであるはずである。他方、医療事故と相当因果関係があるのは被害者の死亡という損害についてであり、交通事故で生じた受傷という損害については相当因果関係がないのではないか、という問題点が浮かび上がってくる。

なお、仮にこの点をクリアしたとしても、②要件である「関連共同」性、判例に従えば、「関連共同」とは、客観的関連共同のことであるが、これについても認めることが難しい。

というのも、先の平成13年判例がこの手の事案の先例とされるが、平成13年判例では、交通事故、医療事故と発生した損害との間に相当因果関係が認められる事案であったからだ。つまり、各行為の内、どちらが直接の死因となったかが判明している事案においては、判例の規範をそのまま用いることはできないのではないだろうか?ここでは、判例の射程が問題になり得る。

細かい議論は無視して、結論だけ述べてしまうと2通りの結論が導ける。

一つは、脳死して小難しいことを考えずに平成13年判例同様、そのまま②要件を肯定してしまうというもの。

もう一つは、判例の場合とは事案が異なるとして、②要件の充足性を否定することである。私としては、こちらのほうが整合性が採れるためこちらをお勧めしたいが、自己判断でお願いしたい。

この場合、結局は719条の共同不法行為は成立せず、709条の責任追及を行い、Xに対しては相当因果関係の認められる受傷の限度での損害賠償請求を、Yに対しては相当因果関係の認められる死亡の限度(つまり、受傷についての損害賠償責任は否定)での損害賠償請求を認めることになる。

 

 

論文で書く際には、事案に応じて①要件の要否と②の客観的関連共同をどう考えるのかが極めて重要なものとなる。その際、平成13年判決の事案を理解していないと判例の射程を意識して論じることが難しくなってしまう。そのため、平成13年判決についてはざっと目を通しておく必要があると考える。なお、昭和43年判決については、コンビナート型の事例であり、規範を打ち出したという点以外にめぼしい点はないといえる。そのため、特段時間をかけて読み込む必要はない(昭和43年判決について、共同不法行為の先例とすることには疑問が残るとする学説も有力である)。

 

 

以上が、共同不法行為論の厄介なところを出来るだけ端的にまとめてみたものである。

なお、論文執筆との関係で内容については精査しているものの、一部表記が怪しかったりするかもしれないが、あくまでも私の備忘のためなので許してほしい。

 

 

自主ゼミの組み方や取り組み方とかとかとか

質問箱でよく質問を受けるのでここでまとめておきます。

※あくまでもR2.11.9時点での私の考え方です。これ以外のやり方もありますし、自分に合った方法だけ抽出してください。

 

 

 

1.そもそも自主ゼミとは何なのか

そもそも自主ゼミとは何なのでしょうか。簡単に言ってしまうと、共通の目的を持った人たちで集まって一緒に勉強しましょうというものです。

学部だったり、予備校だったり、ローだったりでよく見かけますね。一番メジャーなのはやはり司法試験対策だったり、定期試験対策のものでしょうか。

 

 2.自主ゼミの組み方

自主ゼミの組み方ですが、自主ゼミは自分と同じくらいのレベル(若しくは少し上くらいの人)と組むのが最も理想的だといえます。自主ゼミのやり方にもよるのですが、各自起案してきて、添削をし意見をぶつけ合う場合に、自分より実力が上すぎる人は何を言っているかわからない、指摘が高度すぎるといった弊害があるからです。

なお、実力が自分より上の人と組む場合、その人にとっては自分より実力が下の人と組むことになりますが、そこは科目間での得手不得手を上手く組み合わせてバランスをとるのが良いと思います。

事実、私は春学期の自主ゼミは刑事系と民事系の2つに参加していました(民事系は苦手である一方、刑事系は得意だった)。その結果、民事系については自分の弱点と上手く向き合うことができ、刑事系についてはより理解を深めたり、勘違いしていた知識を修正することができました。

問題は人探しなのですが、話していて論文のスタンスが似ている、知識面での優劣がそこまでない人を探しましょう。これくらいであれば普段の会話(勉強法とか講義の話)で探ることができます。

人数としては、2~3人程度が良いと思います。題材にもよりますが4人以上だと、添削しづらく意見を言えない人が出てくるためです(特に今のご時世だとZoomでやることになり、双方向で話せない弊害もある)。

 

 

ここからは秋学期で私が実際に組んでいる自主ゼミの話になります。

自主ゼミは全部で3つ組んでおり、1つ目は予備試験対対策ゼミ(今は暫定的に中間試験対策に移行)、2つ目はロープラ民訴ゼミ、3つ目は事例研究行政法ゼミです。どれも週1以上での開催です。

①予備試験対策ゼミについては、定期的に(予備レベルでの)フル答案がしたいなぁと思ったのと、自分にない煌めくセンスを持つ人と組みたかったから組ませてもらいました。そのおかげか、憲法の理解がかなり進んだように感じます。

②ロープラ民訴ゼミに関しては、その名の通りロープラ民訴の起案をするゼミです。これが一番辛い…ですが、司法試験対策上避けては通れないので頑張ってます。

③事例研究行政法ゼミも②と同様です。かなりの良書なので独学でもいけそうですが、やはり書いたものを誰かに読んでもらうのは大事なんだなぁと、このゼミで痛感しました。

 

 3.自主ゼミの取り組み方

人が決まったら題材と目的を決めましょう(これは順不同)。

何を扱ってもいいですが、手始めに定期試験対策から始めるのがおすすめです。私も最初は定期試験対策ゼミで要領をつかみました。

題材を決めたら、起案する頻度や締め切り、いつまでに添削するか、いつZoomで意見をぶつけるかを決めます。週1以上でやるのがおすすめですが、その辺はゼミメンの予定にも配慮して決めると良いです。

他人の答案を読む機会はなかなかないので、がっつり読み込むのも良いです。ここの表現はあの判例を意識してるのか!とか、この規範のあてはめはこうするのか!みたいな新たな発見があります。他人の答案を読んでいると、ソクラテスメソッドについても思いを馳せることがあります(どう考えたのか、この考え方を基にするとどういう結論になるのか、それは妥当なのか等。

 

 4.目的と解散

形あるものはいずれなくなる、という言葉のとおり、自主ゼミも目的を達成したら解散することになります(もちろん、次の目的を設定して存続することも可能)。

 

定期試験対策ゼミであれば、期末が終われば一旦は解散になるでしょうし、ロープラ等も一通り終われば解散することになると思います。

なお、目的未達成のまま解散することもあります。

例えば、自主ゼミを組んでみたものの、思ったように伸びなかった、やり方が肌に合わない等の理由があります。

その場合も、早めに伝えるのが良いと思います。素直に話してもいいですし、予備校の答練が大変で~とか言えば角は立ちません(それくらいの配慮はしよう)。

 

 

民法(解除後の第三者からの転得者と解除権者の関係)

※ついこの間、自分が疑問に思っていたことが解決したのでまとめました。というか、単なる備忘です。

 

何を言っているんだと思うかもしれませんが、簡単に言うと以下のとおりです。

AがBに対し、自己所有の不動産である甲不動産を売却した。その後、AはBとの売買契約を解除した(541条)が、その直後、Bは知人Cに対し甲不動産に関する売買契約を締結し、Cは移転登記を備えた。その後、CがDに対し甲不動産を転売し、Dが登記を備えた場合におけるA・D間の法律関係についてである(本問ではわかりやすく全員善意であることを前提にしている)。

以下、簡略図です。

①売買(②解除)   ③売買      ④売買

Aーーー→Bーーー→C---→D

 

Cまでの関係あれば、いわゆる解除後の第三者の論点であるため、容易に解決できる。つまり、判例に従えば、AとCは対抗関係に立つ結果、先に登記を備えたCが優先するというものである。

では、その後の転得者であるDとの関係はどうなるのか?というのが、今回の疑問点である。

ありえそうな考えとしては、①AとDは対抗関係に立つ→Dが先に登記を備えているからDが優先する。②対抗関係に立つAとCのうち、Cが先に登記を備えAに優先する結果、Aは無権利者になることが確定しているから、そもそもDとの間で対抗関係に立たない→よって、Dが所有権を有効に取得できる。

 

 

以下、正解を載せるので簡単に答えを考えてから見てほしい。

 

 

 

 

 

結論から言ってしまうと、正解は②である。

そもそも対抗関係に立つ場合がどういう場合かを考える必要がある(これについては各自でどうぞ)。二重譲渡の事例でも、不完全な形ではあるとはいえ所有権を取得しているために対抗関係に立つ。

なお、AとDとが対抗関係に立つのは、Cが未登記のまま甲不動産をDに譲渡した場合であり(先の場合とは異なりAC間での優劣関係が決せられていないため)、この時にはAとDのいずれか先に登記を備えた者が優先することになる。

 

 

 

民法でよく悩むことが多いが、勝手な妄想から法律関係を考え始めることに端を発していることが多く、この癖を止めないと勉強が進まないのでは?という危機感を持っている。

ちなみにだが、自分で出す結論には自信がないため、必ず民法の教授にメールで確認した上でまとめている。

 

評判良ければもっとまとめるかも。

以上。

憲法の論文試験(人権)に関する一考察

※この記事は憲法の論文(試験)を勉強中である私が自分の備忘のために残しているメモのようなものです。頑張って正確に期すようにはしますが、何かあっても自己責任でお願い致します。

 

憲法の論文を勉強するにあたって、まずどういう構造になっているのかを意識した。つまり、大雑把にいうと【人権】と【統治】である。

 

ここでは、【人権】について触れる。

※統治については気が向けばまとめるかも。

 

今までそれなりに演習を積んできたが、人権が出てきた場合の処理手順は大まかに以下のとおりである。

 

①本件で問題となる人権の認定(政治的表現をする自由とか営業の自由とか

②制約主体の認定(国、地方公共団体or私人

③本件処分、あるいは本件法律(条例)による制約の認定

④③で認定した制約は許されるかの検討(いわゆる違憲審査基準

 

これがいわゆる公式のようなものだが、およそあらゆる場面で利用できるものではない。例えば表現の自由vsプライバシー権の場合等には、利益衡量を用いて処理する。

 

とまぁ、ここまでは市販の演習書にも記載があるわけだが、問題はこの先である。つまり、違憲審査基準の定立方法として、表現の内容規制なら厳格審査基準、内容中立規制なら厳格な合理性の基準といったような手法が採れるのか、ということである。答えは””である。

※この点に関しては、司法試験、予備試験の採点実感で触れられている通り、違憲審査基準の定立に終始している答案として低い評価となるようである。つまり、裏を返せば説得的な理由さえ書けていれば極端な基準を採用しない限りはそれなりの評価を得られるものと思われる。

 

さらに、経済的自由権は①民主政の過程において自己回復が可能だとか、②裁判所は立法府の判断を尊重すべきである、との理由で、精神的自由権に比してより緩やかな基準が妥当する(いわゆる二重の基準論)、そして規制目的に応じて審査基準を使い分ける(目的二分論)といったことがされる。

※複合的目的や一概に目的を認定できない場合では規制態様まで併せて考える

 

論文試験では、公式のような形で審査基準を定立してあてはめていくわけだが、果たしてこの思考は正しいのか?もう少し異なる思考が求められているのでは?ということに関して考えを深めようとするのが今回の目的である。

 

 

令和元年司法試験公法系の採点実感では以下のように述べられている。

本件で問題となっている自由ないし権利について、「表現の自由」として憲法の保障が及ぶこと、それに対する制約があることを論じた上で、違憲審査基準を設定して、当てはめ判断をするという基本的な枠組み自他は概ね示されていた…

違憲審査基準論の恣意的な設定をしている答案があるが、審査基準の設定に当たっては、どうしてその審査基準を用いるのかを意識して、説得的に論じるようにしてほしい。

関連する判例への言及は、以前に比べると増えているが、…当該判例のを正確に理解し、本問との区別の可能性を検討した上で、自らの理解を基礎付けるために適切に引用しているものはまだ多くない。

 

 

上2つについてはまさにその通りであり、やはり形式論的な論述は全く求められていないように感じる。

問題は3つ目である。というかこれを見て執筆するに至ったのだが…

※ちなみに、判例への言及は平成30年の採点実感でも触れられている。

 

つまり、具体的な事案(問題)に触れたときに、関連する判例を念頭に置いた論述が求められるのではないか?という疑問に帰結することになる。

 

※以下、令和元年憲法を題材に思考法を残すため、まだ解いていない人やネタバレされたくない人は読まないように注意してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

令和元年予備試験憲法の論文だと、念頭に置くべき判例エホバの証人剣道受講拒否事件や日曜参観事件が挙げられると考えられる。

前者では、学校側は、エホバの信徒である当該学生にだけ代替措置を採ることは、政教分離に反する、代替措置を採ることは他の生徒との間で不公平な結果となる…と主張していたことを思い出し、次に具体的にどう処理していたかを思い出す。つまり、そもそも校長には学校教育法上の裁量があるものの、当該裁量は無制限ではあり得ない。そして、本件処分が当該裁量として認められるのかといった観点から審査密度を考えていく。そのためには当該処分の性質、問題となる人権への制約の程度を考えていくことになる。

後者については、本件ではうまく使えそうにないが、事情の評価等で上手く使えそうなものが存在した(ように思う)。

※ここではざっくりとした思考に留めているが、実際に論文を書くときは緻密な思考が求められるのは言うまでもない。また、これはあくまでも思考手順であり、実際に書く際の流れとは幾分か異なる点にも留意されたい。

 

令和元年の問題を解く際に使えそうなフレーズとしては、

剣道受講拒否事件での、「剣道実技の履修が必須のものとまでは言い難い…」(みたいな文言があった)等が挙げられる。本件では水泳の授業であり、これは学習指導要領上、必修となっているため、このフレーズは上手く使えそうだなとか。

 

 

つまり実際の答案は、

校長の裁量権の逸脱・濫用にあたらないか。

かかる成績評価の性質、問題となる人権の設定、制約の程度の認定から、審査密度を考え、裁量権の逸脱・濫用にならないかを検討する。

 

といった流れになる(ようである)。

というのも、この問題を初見で解いて答練に出したときは、審査基準論を展開して論述していた。

つまり、本件処分はXの信教の自由を制約し、違憲ではないか。から始まり、公共の福祉、違憲審査基準の定立→当てはめ(当てはめの中で政教分離に関することを書いた)という流れに載せていた。

この答案は、某予備校の答練に提出したが、ちゃんと点が取れていた。

 

予備校答練の結果を鵜呑みにすることは危険だが、Twitterを見る限り(これも情報に偏りがあるが)、裁量論で書いたけどFだった、違憲審査基準で書いたけどAだった、という両極端な結果が存在する。

つまり、判例を念頭に書いても緻密な評価が出来ていなければ評価は伸びないし、判例を思い出せず処理手順に載せて書いても、審査基準の定立理由や当てはめがしっかりしていれば、ちゃんと評価されるようである。

 

ということは、無理に書き方を変える必要はなく、関連する判例を思い出すことができ、それを上手く表現できるのであればそちらで書き、関連する判例を思い出せない場合には処理手順に載せて書いても差支えはないということになる。

 

 

以上。

何か質問あれば自分で調べてください。

-2020.9.19のメモ

アマゾンでのやらせ投稿/Black Lives Matter/オンラインゲームでのチートツールの使用・販売について/hardgainer について/漁業権/銃刀法

 

アマゾンで「星一つ」やらせ投稿 依頼者に異例の刑事罰:朝日新聞デジタル

・大手通販サイト・アマゾンが扱う商品のレビュー(評価)欄にわざと悪い内容を書かせ、競合他社の信用を傷つけたとして、福岡簡裁が信用毀損(きそん)罪で、別の会社の男性役員に罰金20万円の略式命令を出したことがわかった。電子商取引の専門家によると、こうした「やらせレビュー」の実行者を特定するのは難しく、刑事罰に至るのは異例という。

 

・低評価の裏に「やらせ請負仲介サイト」

 

・略式命令などによると、男性役員(25)は福岡市内で健康食品・器具の通販会社を経営。仕事仲介サイトで商品レビューの仕事を募集した際に応募した福岡県内の40代女性に対し、2018年1月、500円を支払い、福岡市の別の健康食品販売会社がアマゾンで扱うサプリメントに低評価のレビューをつけさせ、信用を傷つけた。

 

・女性は商品を使ったことがないのに「一粒が大きくて飲みにくかった」などと書き、5段階評価で最低の「星一つ」とした。これを含め、低評価レビューが1週間で2商品に9件ほど続いたため、不審に思った販売元の男性社長(39)が投稿者名を検索したところ、やらせレビューの請負を含む仕事仲介サイトの登録者だったことがわかった。男性社長は女性と依頼主の男性役員を苦労の末特定し、18年5月に福岡県警に被害届を出した。

県警は昨年9月、福岡地検に信用毀損容疑で男性役員と女性を書類送検。今年4月に福岡区検が男性を同罪で略式起訴し、福岡簡裁が略式命令を出した。女性については地検が「諸般の事情を考慮した」として不起訴処分とした。

県警や検察に対し、女性は17年ごろ仕事仲介サイトに登録したと説明。月に2件ほどレビュー投稿の仕事を受け、1件200~600円の報酬を受け取っていたという。請負ったのは高評価をつける投稿ばかりで「低評価の投稿を依頼されたのは初めてだった」と供述した。

 

 

〇まぁ、普通に信用棄損だよねというお話。個人的には星5つについても規制してほしいが、こちらの場合は信用棄損罪の要件を満たさない(「人の信用を棄損」とはいえないため)ので、違う構成が出来ないものかと模索中。

〇レビューの依頼って結構高額なのかな?これだったら、高評価の依頼を請け負ってる人もそれなりにいそう。

 

 

Black Lives Matter

 

ブラック・ライヴズ・マター (: Black Lives Matter 通称: 「BLM[2]) は、アフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為に抗議して、非暴力的な市民的不服従を唱えるアメリカ合衆国の組織的な運動である[3]

Wikipediaより

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%BF%E3%83%BC 

 

〇日本ではあまりなじみがなかったものの、最近のアメリカの情勢(黒人の容疑者と警察官のアレ)を受けて日本でもしきりに報道されるようになってきたように感じる。

〇わりと簡単な英語だが、日本語訳が安定しない英語表現でもある。個人的には、黒人の命が大事、と訳すほうが現況を踏まえられているように思うが…。黒人の命”も”大事、という付加的な表現は諸々の理由で避けられている。

※ちなみに直訳は「黒人の命は大事」である

 

オンラインゲームでのチートツールの使用・販売について

「モンハン」でチート行為、容疑で大学生を逮捕 摘発は全国初 - 産経WEST

〇記事自体は2016年のもので、もう4年前のものだがきちんと追えてなかったのでここで書くことにする。私自身、MGO、CoD、マリカ8等々腐るほどオンラインゲームをやってきていてとても楽しんでいた。が、最近のAPEX、FallGuysあたりのゲームでは当たり前のようにチートが横行しており、特にランク制を導入しているゲームの一般プレイヤーにとっては悩みの種でもあった(FallGuysでは間違いなく勝てない。Apexでも九分九厘負ける)。

〇この2016年の事件では私電磁的記録不正作出・同供用罪で逮捕されているが、これは昨今のFPSで見られるチート(オートAIM、WallHuck等)とは異なり、ゲームのデータにアクセスし、キャラクター(ハンター)を強くするプログラム改変を不正に行うチート行為をしたことに起因する。

 

〇これって、著作権法の方はセーフなの?って思ったら、下記の事件があったので参照。

 

モンハン4Gデータ改ざん容疑 大阪の会社員を書類送検:朝日新聞デジタル

 

カプコンの人気ゲームソフト「モンスターハンター4G」のデータを改ざんしたとして、大阪府警は17日、大阪市住吉区の会社員の男(44)を著作権法違反(同一性保持権の侵害など)の疑いで書類送検し、発表した。インターネットオークションを通じて客を募り、約200万円を売り上げていたという。

阿倍野署によると、男は2015年8月~昨年1月、6本のニンテンドー3DS用ソフト「モンスターハンター4G」をパソコンを使って改ざんし、カプコンなどの著作権を侵害した疑いがある。男はネットオークションで「真・最強セーブデータ」とうたう商品を出品。落札した6人から宅配でソフトを受け取ったうえで、ゲームのアイテムの能力やキャラクターの所持金が増えるようにして送り返していたという。

・男は「生活費が欲しかった」と容疑を認め、昨年6月までの約1年半でソフト250本分で、約200万円を売り上げたと説明しているという。男が昨年6月、データの改ざんをとがめる匿名のメールが届いて怖くなり、阿倍野署に相談したため、容疑が発覚したという。

 

著作権法には同一性保持権というものがある。これは、「著作者の意図に反して、内容を改変・切除、改題を行うことを禁止することができる」権利である。ちなみに、これとは対になる権利として翻案権というものがあるが、ここでは割愛。

〇要はチートツールの利用の有無にかかわらず、著作者の意図しない改変は、この同一性保持権に反することになる。

〇ってことは、昨今のオートAIMとかも同一性保持権に反するんじゃ…って思ったけど、よくわからない。

 

 

hardgainer について

〇どんだけ食べても太れない(太らない、ではなく)人のことをハードゲイナー(hardgainer)というらしい。対義語はeasygainer。

〇一見羨ましくもあるが、体重はその人の体力の指数だと思っているので、あまり痩せすぎるのも良くない。というかデメリットである。

〇全く関係ないけど、満腹なのにまだ食べさせようとしてくる人いるよね。あれ辛いよね。

 

 

漁業権について

〇この夏、魚釣りに行ってきた。その時に、「おぉ~ワカメじゃん!!」って感動してたら、固着のものは採らないようにとの指示があった。”そもそも海って皆のものじゃないの?何言ってんだこの人…”と思い、気になって調べることにした。ちなみにだが、釣りはとても楽しかった✨

水産庁/漁業権について:水産庁

 

水産庁のサイト参照、と言いたいが、あっさりすぎてよくわからなかったので備忘を兼ねてまとめておく。

〇漁業権は漁業法に定められており、漁業権というものを作ることで、特定の人が採りすぎないように漁場を守る役割を果たしている。漁業免許制度によって、漁師は一般人に禁止された漁ができるようになる、と同時に自主的な海の管理が義務付けられている。

〇漁業は3種類の類型が存在する。1)漁業権漁業、2)許可漁業、3)自主漁業である。簡単に言ってしまうと、1、2は漁師にしか認められていない。3は誰でもできる。こうなると、気になるのはどの水産物が1~3にあてはまるかである。

〇まず、泳ぐもの(お魚さん)は漁業権の対象とならない。調べてみて驚いたが、よく考えたら魚は自由に泳いでどっか行っちゃうしそこまで管理できないよね。つまり、漁業権の対象となるのは「固着の資源」となる。わかりやすいのは貝類である…が、全ての貝類が対象ではない模様(漁師の生活に直結するようなもの?アワビとかサザエとかが対象になっている)。ちなみに海藻類も固着の資源なのでダメ。この辺は各海区毎に異なるので、事前に調べておく必要がある。

〇我々一般人が釣りをする分には何ら問題ない…と言いたいが、さすがに釣りの態様による規制はある。簡単に言うと、地引網や水中銃、爆発物を使った漁は禁止されている(水中銃は海外ならOKのところもある)。

〇つまり、普通に魚釣りをする分にはOK。貝類、海藻類は基本的には採らないことを徹底していれば密漁にはならない。というのが、まとめになるのだが、そもそも海ってみんなn…という気持ちは変わらないので、密漁問題に移ることにする。

 

〇先の解説のとおり、一般人が漁師にしか許可されていない水産物を採ってしまうと「密漁」となる。密漁者は、漁業権侵害、各海区の漁業調整規則違反の罪に問われることになる。

※先述の爆発物等を用いた漁をした場合は水産資源保護法違反となる。

〇話を戻すと、固着の資源については漁師が稚貝を放流しているのがほとんどのようである。自然に任せていると採れる年と採れない年が出てきて生活が安定しないからである。そして、貝類の餌となる海藻類も漁師が1個1個植えている。つまり、漁場は菜園や果樹園のイメージに近い。そう考えると、他人の畑から勝手に野菜や果物を持っていったらダメ(窃盗罪)なのと同様に考えることができる。

〇意外だったのは、漁場はもはや人の手で管理しなければ維持できなくなっているという点である。水産資源の国だし、何とかなってるだろ位の認識だったが、調べてみて驚くことが多かった。川で魚を釣る時にお金払うのも納得がいった。ちなみに、川でサケを釣ってしまうと水産資源保護法違反になるため注意。

 

銃刀法

〇刃渡りが~、刀身が~等でよく聞く法律であるが、実際にはよくわかっていなかったので調べてみた。

 

刃物の話 警視庁

〇警視庁のサイトに綺麗にまとまっているので、要点だけ述べる。

〇まず、銃刀法の対象は刃物であり、刃物とは「その用法において人を殺傷する性能を有し、鋼又はこれと同程度の物理的性能(硬さ及び曲げに対する強さ)を有する材質でできている片刃又は両刃の器物で、刀剣類以外のもの」をいう。つまり、イメージとしては、ナイフやカッターである。

〇ここで、銃刀法22条を見てみる。

第二十二条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

〇基本的には、刃帯の長さが6cmを越えなければセーフなようである。

もっとも、6cmを越えなくとも、軽犯罪法1条2号違反となる(おそれがある)。

 

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

〇あまり言いたくないが、点数稼ぎに使われてるんじゃ?と思うような事例もある。

〇十徳ナイフでやられたという報告もネットには転がっているので要注意。正当な理由がなければ持ち歩かないほうが良い。

〇おざなりなまとめ方なのでまた加筆する。

 

終わり。